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店長情報 › 彼の言っている › 2016年08月

2016年08月22日

特売の話だった

デパートやショッピングモールも、元旦早々、初売りとかをやる。聞くところによると、女性たちが雲霞の如く集まって、走り回るんだそうだ。
 可哀想なのはそれに付き合わされるボーイフレンドや亭主たちで、雲霞の周りに立ち尽くしているんだという。愕然としているのか、呆然としているのか、はたまた泰然としているのか・・・

 でも、彼らよりももっと可哀想な人たちがいる。初売りが恒例行事となり、どの店も右へ倣いをする。好きで買い物にやってくる女性連や、まあ付き合わされる男たちはともかく、お屠蘇も関係なしに正月出勤して、雲霞の応対しなくてはならない店員たちこそ、いい面の皮である。
 仕事とはいえ、大変。同情を禁じ得ない。

 初売りではな、。
 青果店の店先で、ラズベリーとブルーベリーが特売になっていた。アメリカ産とメキシコ産。
 しかし、特売とはいっても、まあまあの値段はする。量的にも2パックは必要だった。合わせて350g。いつものスーパーなら1パックの量が少ないので、同じ値段で4パックは必要・・・つまり半値じゃないか!

 ラズベリーとブルーベリーでは、やはりラズベリーの方が目にする機会が少ない。ジャムとなれば尚更。
 それにラズベリーの方が甘酸っぱくて好きだし・・・
 迷わずラズベリーを選んだが、少しだけ迷いがあった。
 ジャムにしちゃって、いいのか?

 これは生食用である。ケーキなんかにはよくラズベリーが載っていて、生で食べてもおいしい。
 ジャムにしちゃって勿体なくないか?
 いや、生で食べたら、あっという間に食べ終わってしまう。ジャムにすれば長持ちする。
 ジャムにするのが勿体ないのか、生ですぐに食べ終わってしまうのが勿体ないのか、自分でもよく分からなくなってきた。
 そんな小市民的葛藤を経て、やっぱりジャムにすることにした。


 でき上がったジャムはすこぶる美味しい。
 冷凍ラズベリーも売っていて、もうすこし安価で手に入るが、生のラズベリーで作ったジャムは味がまろやかでフルーティ。
 やっぱり何かが違う・・・気がするが、単にそう思いたいだけか? やっぱり小市民だ。

 ヨーグルトにかけても美味しいが、トーストに塗った方がラズベリー・ジャムの美味しさが際立つ。ここは、是非ともパンで。
 いや、ほんとに旨い。書いているだけで涎が垂れ  


Posted by write at 13:28Comments(0)

2016年08月08日

中央通りを上野方面に向かって見渡せた

坂口電熱で店員の説明を聞いているうちに、V=IRのオームの法則を思い出した。
 「電圧を上げると抵抗が大きくなります。ニクロム線は太い方が、電気抵抗が小さくなります」
 そう、電気抵抗は断面積に反比例するんだよな。つまり、細い方が高温で発熱しやすくて、太い方が温度が低い・・・
 ニクロム線を買い終わると、万世橋を渡ったところにある肉の万世に向かった。万世と通りを挟んだ反対側が、かつての万世橋駅と交通博物館の跡になっている。
 窓際のテーブルに案内されると。
 万世橋交差点の右手前には、パチンコ屋の入っているビルがある。
 「こんなところで、パチンコ屋が繁盛すんのかな? 前はラオックスが入っていて、ビルが建つ前のもっと昔は、一階に理科実験器具を売っている店があったな。三軒くらい店が並んでいて、その一つにフラスコとかの実験器具を売っている店があったんだよ・・・
 「総武線のガードが見えるだろう? あの通りの両側は電気店ばかりが並んでたんだ。昔は、電気店の隣は電気店、そのまた隣も電気店って具合に、どこまで行っても電気店だった。今は携帯電話とかDVDやゲームソフトを売ってる店が増えたな。ゲームセンターもあるもんな、ずいぶんと変わっちまった・・・」
 「ロケットとかあったわよね?」
 連れ合いの合いの手が入る。
 「あった、あった。80年頃かな、ロケット何号店とかいって、やたらあちこちに店を開いていた時期があった。今はソフマップが全盛だな。ソフ頭髮變幼マップはソフト屋だけど、ロケットは家電量販店・・・
 「そういえばシントク電気の看板が見えないけど、なくなったのかな? オノデンはあるな。ヒロセ無線の看板はあるにはあるけど・・・」
 「サトー無線は、さっきシャッター閉まってたわね・・・」
 「秋葉原も変わったよな・・・でもさ、ガード下の店で訊いたら、すぐにニクロム線を売っている店を教えてくれたろ? 若いお兄さんだったけど、街が変わっても、昔と変わらない店や人もいるんだよ・・・」
 すると、後ろの席で話している老齢の男性の声が聞こえてきた。
 「交差点の角に、万世橋警察署があったんだよ・・・」
 万世橋警察署は2000年まで、現在は国交省関連の施設になっている万世橋交差点の角にあった。
 子どもが声を潜めて皮肉っぽく言った。
 「歳を取ると、みんな昔の話ばかりしたがるね・・・」
 「そりゃそうさ。だって、年寄りが昔の話をしてあげないで、誰がするんだよ・・・」
 
 ガード下の電気部品屋で買い物をした後は、アキハバラデパートでよくご飯を食べたな。でも、アキハバラデパートも2006年末で閉店してしまった。
 秋葉原の思い出の最初は交通博物館だった。次がニッピンという登山用品店で、中学生の時に初めてキャラバンシューズを買った。ニッカポッカやザック、ポリタン、コッフェル・・・あの頃は登山用品を買いにずいぶんと秋葉原に通った。
 秋葉原のニッピンは今でも健在だ。
 連れ合いの嫁入り道具の照明器具は、山田照明で買い入れたものだった。俺の実家では、ヤマギワ電気で照明器具を買うことが多かったな。
 ヤマギワ電気も山田照明も紆余曲折はあったのだろうが、今でも秋葉原に店を開いている。
 変わったもの、変わらないもの。
 レイヤーの向こうに見えなくなってしまったもの、今も見えているもの。
 「前より人通りが少なくなったと思わない? 通り魔事件のせいかしら・・・」
 連れ合いが通りを見下ろしながら言った。
 「そうかもしれない。で對沖值も、昔の秋葉原の人出はこんなもんだったんじゃないかな。パソコンの街になって、ゲームやフィギュアやオタクの店が増えて、人が多くなりすぎていたんだよ・・・
 「店が変われば人も変わる、人が変われば街も変わる・・・このくらいで、ちょうどいいんじゃないかな?」
 万世のレストランから見る秋葉原のメインストリートは、それでもちょっとよそよそしかった。  


Posted by write at 16:07Comments(0)